2015年12月20日日曜日

視覚優位だとこんなことができる



娘が3歳の時、都道府県パズルを買いました。

県の形のピース。北海道でかすぎ。

普通にパズルをはめるのに飽きたころ、
ピースの形だけで都道府県を当てるゲームをして遊んでいました。

そのうちピースを裏返したり、一部だけを見せたりして難易度を上げていったのですが、
当たり前のようにサクサク正解を言い当てる3歳を前に、
母、大喜びを通りこしてややドン引き。



問題①:どこの都道府県でしょう?(裏返して先っぽだけバージョン)

 この割りばしの先みたいなのだけ見て、都道府県を当てられる人いますかー?

 



答え:鳥取県





問題②:どこの都道府県でしょう?(側面の一部だけバージョン)

こんどは横のギザギザだけしか見せないよーん。分かる?(ちょっとピンボケだけど)



答え:滋賀県



できましたかー?
あ、できるわけないって?
ウチの3歳は余裕でできましたけどね(ドヤ)。


「視覚優位」だと、こういうことができます。
視覚優位というのは、聴いたことより見たことの方が理解が早いタイプの人のことです。
こういう人は物事を言葉ではなく映像で覚えたり考えたりします。
口で説明しても全然分かってくれなかったのに、図解にするだけですぐに理解します。

逆に、目で見るより聞いたことの方に注目しがちなのが「聴覚優位」です。
紙のマニュアルを渡すより口で説明してくれと思うタイプです。


自分がどちらなのか知りたいところですが、
大人になるほど自分がどっち優位なのか分からなくなります。
本当は映像で理解するタイプでも、言語への変換が早くなるからです。


簡単なテストの例では、
たとえば「赤ちゃんが生まれたところを想像してください」と指示されて、
赤ちゃんが泣いている場面を思い浮かべたら「視覚優位」、
「オギャー」という泣き声を思い浮かべたら「聴覚優位」、とあります。


視覚優位の方が「天才型」とか言われていますが、
一般社会では聴覚優位の方が何かと有利です。
なんといっても口頭による言語コミュニケーションが圧倒的に多いですから。


3歳もいまや8歳になり、あまりこういう特殊能力が目立たなくなりました。
それでも気まぐれにこのパズルでクイズを出してみて、
あっさり正解を当ててくれたりすると、昔を思いだすようで懐かしいのです。



 




2015年12月5日土曜日

なぜ発達障害は分かりにくいのか?


そもそも中のそもそもですが、発達障害とは何でしょうか?

「発達障害」という言葉はよく知られているのに、中身はあまり理解されていませんよね。
当事者の保護者である私でさえも、自分の子供の説明はできるけど、「発達障害って何?」とざっくり聞かれると、さてどこから手をつけましょうかという状態になります。


発達障害者支援法では、
発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」

と定義されています。
これを読んで「おおっ!発達障害が分かった!」と思う人はどのくらいいるでしょうか。
まず、出てくる用語が意味不明ですよね。


もう少し優しい表現で説明してくれているものもあります。
国民にあらゆる情報を分かりやすく説明してくれる政府広報オンラインによると、

発達障害は、脳機能の発達が関係する生まれつきの障害です。発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。また、その行動や態度は「自分勝手」とか「変わった人」「困った人」と誤解され、敬遠されることも少なくありません。

とあります。

「お、おう。。」って感じですよね。


言葉による説明が難しい時は、図解に頼るのが一番ですよ。
厚生労働省のホームページの発達障害に関する解説ページの図解はこうです。


発達障害ってどんな障害?(厚生労働省「政策レポート」より)

これを見て「なるほど!一目瞭然!!」となる人っているんでしょうか。


でも、これらは書いた人が悪いのではなくて、本当にこう表現するしかないんだと思います。
本来すべてひっくるめて語るのに無理があるものを、支援の対象にするためにひっくるめて「発達障害」としちゃってるので、発達障害の中身をシンプルに説明することが難しいんです。


いろいろまとめて「福袋」としたものを「これは何だ」と聞かれたら、「いや、福袋っすw」としか答えられないようなものでしょうか。


もちろんまったく無関係な障害を集めたわけではなく、「生まれつきの脳機能障害」という点では共通しているのですが、生活上で問題になる点が全然ちがうので、「結局何が問題なの?」に対する答えがちがってくるのです。


同じ障害を持っていても人によって表れ方が両極端であることも、分かりにくさに拍車をかけています。
たとえばコミュニケーションに難があるのが自閉症の特徴なのですが、同じコミュニケーション障害でも、まったくしゃべらないという人がいれば、プレゼンさせたら最強(ただし人の話は聞かない)という人もいます。


つまり、発達障害が分かりにくい理由は、
  • いろんな障害をいっしょくたに語るのとか無理
  • 同じ障害でも特徴が人それぞれ過ぎてイメージがつかめない
ためだと思われます。


発達障害はその分かりにくさのため、ちょっと変わった人を発達障害とレッテルを貼ったり、発達障害と聞くと2歩も3歩も後ずさる人がいます。発達障害の周知活動は、いまのところあまりうまくいっていないようです。


当事者でもないのにへんに理解しようとすると無用な誤解を生むこともあります。みんなに正しく理解してもらうなんて不可能なので(親でもムリ)(てか他人を理解すること自体がムリ)、分かりにくいなら分かりにくいままでいいと思います。


フツーの人の発達障害の理解に関しては、

「何か知らんけど型にはめたらアカン人」

くらいのイメージでいいんじゃないでしょうか。